【5月25日 Xinhua News】中国北部地域の重要な生態保護地域、黒竜江省(Heilongjiang)小興安嶺の森林地帯で先ごろ、野生アムールトラが40年ぶりに姿を見せた。

 大興安嶺と小興安嶺は中国北部の重要な森林地帯で、生態系を維持し、気候変動に対応するなど唯一無二の役割を果たしている。小興安嶺の奥地は、野生アムールトラの主要生息地の一つだった。

 アムールトラは絶滅危惧種にランクされ、その多くはロシアの極東地域や中国の東北地域に生息している。生息地の環境破壊や人類による乱獲が原因で、生息頭数は20世紀に入って激減した。

 ここ数年、中国は生態系の維持を非常に重視しており、生物多様性の保護に関する政策を多く策定、野生アムールトラの保護は積極的な進展を遂げた。

 中国政府は吉林省(Jilin)、黒龍江省にまたがる146万ヘクタールの土地をアムールトラ・アムールヒョウ国家公園の試行区域に定め、アムールトラの「楽園」とした。

 森林の伐採や鳥獣の狩猟を禁止する措置により、東北地域の森林では、野生動物が増え始め、アムールトラの生息環境も整ってきた。専門家がここ数年のアムールトラの行動範囲を分析した結果、国内の生息地域が東から西へ、国境地帯から内陸へと拡大する傾向が見られるという。

 黒竜江省小興安嶺野生動物救護繁育研究センターの崔岩(Cui Yan)主任によると、天然林の伐採禁止・保護の継続で、小興安嶺の野生動物は増え、群れが拡大し、森林の生物連鎖は回復してきた。

 中国北部地域の森林地帯では、生態環境の改善に伴い、野生動物の群れも急拡大し、生態系や生物多様性の改善が見られ、森林地帯は野生動物の「楽園」に戻りつつある。(c)Xinhua News/AFPBB News