■現場のソーシャル・ディスタンシングや70歳以上の雇用回避で解決?

 暫定的な解決策として考えられることの一つは、撮影現場に入る人に検温や、ウイルス検査または抗体検査を行うことだ。

 スウェーデンやデンマークでは、撮影現場でのソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)が実際に試されている。映画製作は消毒済みの防音スタジオで再開され、映画会社は70歳以上や健康状態に問題がある人々の雇用を控えることを推奨されている。

 だが、プロデューサーのジャン・ド・ムーロン(Jean de Meuron)氏とエレナ・バウィック(Elena Bawiec)氏は、このような制限は人が密に集まる撮影現場では有用とは言えず、差別や他の危険につながる可能性があると警鐘を鳴らす。

■「ズーム」や「スカイプ」で撮影

 映画製作者や監督は、封鎖下の世界に合わせ、これまでにない撮影場所、技術、ジャンルでの実験を余儀なくされている。

 その大半は、大幅な規模縮小を伴っている。ネメス氏はハリウッドヒルズ(Hollywood Hills)の自宅での映画撮影を計画している。短い撮影期間中、最少限の出演者とスタッフなら収容できるという。

 同氏は「ごく近場の局地的な撮影なら可能だろう……シルバーレイク(Silver Lake)やマリブ(Malibu)、ハリウッドヒルズならできるかもしれない」と、地元の人気の撮影場所を挙げた。

「こんなことに取り掛かっているのは、絶対に私だけじゃない」

 シャルティエ氏は、4組のカップルが殺人について話し合う作品をビデオ通話サービス「ズーム(Zoom)」や「スカイプ(Skype)」を使って「とても安上がりに」撮影しようとしている。

「俳優たちは、自宅で自分を撮影する。衣装も自前、メークもなしだ」

 ハリウッドは、大胆不敵な映画製作者が大きな障害にもめげずに名作を撮り上げた伝説に事欠かないが、シャルティエ氏は、調子に乗り過ぎないよう気を引き締めている。

「脚本の出来が良く、プロットも見事で面白い作品になるか、あるいは、始まって15分後に飽きてしまうか……そうなるとがっかりだ!」 (c)AFP/Andrew MARSZAL