【12月2日 AFP】西アフリカ・マリで対テロ夜間作戦中のフランス軍のヘリコプター同士が衝突し兵士13人が死亡した事故をめぐり、仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)が風刺画を掲載し、怒りの声が上がっている。

 シャルリー・エブドは2015年にイスラム過激派の攻撃の標的となった風刺週刊紙。今回、マリの事故を題材とした風刺画5点をウェブサイトに掲載した。

 うち一点は、仏国旗で覆われたひつぎの前にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が立つイラストに、「私が入隊したのは、突出した存在になりたかったからだ」との文章が添えられている。この文言は、仏軍が最近兵士の勧誘に用いているスローガンだ。

 仏軍のティエリー・ブルクハルト(Thierry Burkhard)参謀総長は先月29日、ツイッター(Twitter)への投稿で「この絵を見て、深い憤りと理解しがたい思いを抱いた」と表明。さらにシャルリー・エブドの編集者に宛てた公開書簡で、遺族の服喪期間を汚す行為だと非難した。

 だが、同紙編集者のローラン・スリソー(Laurent Sourisseau)氏は1日、仏軍の対テロ任務の重要性は認識していると述べつつも、同紙の「風刺精神」を擁護。「私たちの新聞は、時に挑発的なその風刺精神に忠実であらねばならない」と記し、問題の風刺画の掲載を正当化した。

 シャルリー・エブドは組織宗教の批判で知られるが、反軍国主義的な風刺画の掲載も伝統としている。風刺画で扱った対象から、行き過ぎだとの批判もたびたび浴びており、2015年1月には国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の影響を受けた男2人が本社オフィスを襲撃して著名風刺画家ら12人が死亡する事件が起きた。(c)AFP