【8月6日 AFP】9月に開幕するラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)で、大会3連覇を目指すオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表)。しかしその足元では、選手をかき集める名門校への懸念が広がる中で、多くのスターを代表に送り出してきた学生ラグビーの競技人口が「危機的」な減少傾向を示しているという。

 学生ラグビーはニュージーランド国内の大きな関心事で、上級生の試合ともなれば全国放送され、いくつかの学校のライバル関係は1世紀以上にも及ぶ。

 ジョナ・ロムー(Jonah Lomu)氏やリッチー・マッコウ(Richie McCaw)氏、ダン・カーター(Dan Carter)もセカンダリースクール(日本の中学・高校に相当)で技を磨き、オールブラックスのレジェンドになっていった。

 オークランド・グラマー・スクール(Auckland Grammar School)のラグビー部は、通算51人のオールブラックスを輩出した実績を誇り、他にも同46人のクライストチャーチ男子高等学校(Christchurch Boys' High School)、同35人のウェリントン・カレッジ(Wellington College)などが有数の名門として知られる。

 ところが今年、ニュージーランドラグビー協会(NZR)の依頼を受けた第三者団体が、セカンダリースクールラグビーに関するとある報告書を発表した。そこには、女子生徒ではラグビー人口が増えている一方、男子ではバスケットボールなどの他のスポーツを選ぶ生徒が増えているという結果が示されていた。

 報告書の共著者であるピーター・ゴール(Peter Gall)氏は、「ラグビーはニュージーランド社会の一部として織り込まれています。この国では、ラグビーが至るところに関わっているし、学生ラグビーの根強い伝統があるのも間違いありません」と話しつつ、次のように続けた。

「しかしセカンダリースクールの男子生徒のラグビー人口は、危機的な速さで減少傾向にあります。セカンダリースクールの入学者数が着実に増えていることを考えれば、なおさら危険な兆候でしょう」「競技人口が減ればチーム数も減少し、しっかりした大会を開催することも難しくなります」

 セカンダリースクールのスポーツに関する統計を集めている「スクールスポーツNZ(School Sport NZ)」によれば、学生ラグビーの競技人口は、2014年の2万5841人から、2018年には2万1532人と17パーセントも減少。

 一方で同じ時期に、バスケ人口は1万3130人から1万8498人へと41パーセントも増えている。オークランドでは、セカンダリースクールのラグビーチームの数が2013年から2018年にかけて225から181に減少し、ゴール氏によれば全国的に同じ流れがみられるという。