【6月30日 AFP】イタリア北部レッジョエミリア(Reggio Emilia)の警察は、困窮家庭の子どもたちを洗脳して両親に虐待されていると思い込ませて里親に売っていたとして、町長や医師、ソーシャルワーカーを含む18人を逮捕した。

 同警察が2018年から行っていた捜査「天使と悪魔」(コードネーム)で、この犯罪ネットワークの存在が明らかになった。容疑者らは子どもたちに電気ショックなどを用い、実の親から性的虐待を受けていると信じ込ませていた。

 この事件は、イタリアメディアによって報じられた。AFPは27日、レッジョエミリア近くのビッビアーノ(Bibbiano)の警察に取材し、事実であることを確認した。

 ジュセッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相は、20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)出席のため訪れていた日本で、この事件について「事実ならば、恐ろしいことであり、衝撃的だ」と語った。

 容疑者の中には、トリノ(Turin)に近いモンカリエリ(Moncalieri)の社会福祉協会で働いていた複数の心理療法士や、ビッビアーノ町長も含まれている。

 容疑者らは子どもたちを洗脳するため、性的なニュアンスのある子どもらしい絵を用意したほか、虐待されたという偽の記憶を植え付けるため電気ショック療法を使っていた。

 イタリアの日刊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)は、「捜査班によると、容疑者グループの狙いは、困難な社会的状況に置かれた家族から子どもたちを引き離し、金銭と引き替えに他の保護者に引き渡すことだった」と報じた。

 日刊紙レプブリカ(La Repubblica)によると、里親の中には、金銭と引き換えに引き取った子どもに性的虐待を加えた容疑が持たれている者もいる。

 警察は被害に遭った子どもの人数や年齢は明らかにしていない。イタリアメディアの報道によると、この事件には数十万ユーロ(数千万円)の金銭が絡んでいるという。(c)AFP