アフリカゾウの密猟8年で半減、絶滅の危機は変わらず 研究
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【5月29日 AFP】アジアの象牙需要を満たすため、アフリカゾウが大量に違法に殺されてきた。ここ8年間でそのような殺傷数は半分以下に減少したものの、アフリカゾウは依然として絶滅の危機にさらされていると警告する研究論文が28日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。
スイス・ジュネーブにある「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、ワシントン条約)」事務局が発表した統計によると、2011年に密猟者によって殺害されたアフリカゾウは約4万頭で、これはアフリカ大陸に生息する個体数の約10%に相当するという。一方、昨年は全体の4%に当たる1万5000頭だった。
論文の共同執筆者で、英ヨーク大学(University of York)の保全生物学者コリン・ビール(Colin Beale)氏はAFPの取材に「密猟数自体は減少しているが、持続可能と考えられる水準を依然として上回っている」と語った。
現在の傾向が続けば、アフリカゾウは「実質的に壊滅状態」に陥る危険性があり、厳重に保護された狭い地区にのみ生息するだけになってしまうと、ビール氏は指摘する。
世界で最も重い陸生動物であるアフリカゾウは100年前、最大で1200万頭がアフリカ大陸に生息していたと考えられている。現在の生息数は、近縁種のマルミミゾウを含めても約50万頭だ。
象牙の国際間取引は1990年に禁止となったにもかかわらず、東南アジアと特に中国での需要は高く、ゾウの大量殺傷を阻止しようとする地元および各国当局の対応能力を圧倒している。
ビール氏は「現在、密猟が最も深刻なのはアフリカの西部と中部だ」と指摘した。
さらにビール氏は「マルミミゾウの未来が最も憂慮される」と語る。森に生息し、牙を持つマルミミゾウは、サバンナに生息する近縁種のアフリカゾウに比べ小型で、単独性が強い。コンゴ盆地(Congo Basin)の生息数は過去15年だけでも65%減少したと推定される。
密猟の摘発件数が最も多いのは、ボツワナ、ナミビア、南アフリカとなっている。
ボツワナのゾウの個体数は実際、1970年以降10倍近く増加したと、ケニアの首都ナイロビにある国連環境計画(UNEP)の野生動物管理部門の研究者、ジュリアン・ブランク(Julian Blanc)氏は述べた。