【4月27日 AFP】陸上男子短距離のウェイド・バンニーキルク(Wayde van Niekerk、南アフリカ)が26日、同胞の五輪金メダリストであるキャスター・セメンヤ(Caster Semenya)が、女子アスリートの競技資格をめぐって国際陸上競技連盟(IAAF)と闘っていることについて、「陸上競技の域を超えるもの」として同選手を支持する姿勢を示した。

 男子400メートルの五輪王者バンニーキルクは、ヨハネスブルク近郊で開催されている国内選手権で報道陣に対し、セメンヤがはるかに偉大なことのために闘っているという認識を示した上で、「キャスターは陸上の域を超える何かのために闘っている。彼女はスポーツ界や社会における女性のために闘っている。自分はそのことに敬意を払う」と語った。

 寒さと雨のコンディションによって負傷した膝の回復が遅れることを懸念し、大会を欠場しているバンニーキルクはまた、「彼女が努力と才能をスポーツにささげている姿を支持する」「彼女の信条と思い描く夢には、大きな敬意を払っている。あらゆることが彼女のためになることを願い、祈っている」と話した。

 IAAFとの対立に関するコメントを拒否しているセメンヤは現在、女子アスリートの資格に関するIAAFの新規則をめぐってスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴しており、その裁定結果が来週出ることになっている。

 女子の400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目について、IAAFはいわゆる「高アンドロゲン」もしくは「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」のアスリートが女性として競技を続ける場合、テストステロンを基準値まで下げることを強要する新規則を設けている。

 IAAFが勝訴した場合、女子800メートル五輪女王のセメンヤは、得意種目に出場できなくなる可能性がある。同選手は今選手権で同種目には出ておらず、その理由については関係者いわく「IAAFに対する無言の抗議だろう」としている。

 その代わりに、セメンヤは25日の5000メートルと26日の1500メートルというより距離の長い2種目を難なく制覇。特に1500メートルでは、2位の選手に100メートル近くの差をつけ、4分13秒59で圧勝した。

 セメンヤは優勝者の慣例に反して報道陣の取材には応じず、IAAFとの対立問題に関して沈黙を守ったまま、ファンにあいさつしてスタジアムを後にした。(c)AFP