【2月23日 AFP】宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)の商用宇宙船「スペースシップ2(SpaceShipTwo)」が22日、乗客を乗せた状態で初めて飛行し、米国で宇宙空間と見なされる高度に達した。

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 ヴァージン・ギャラクティックによると、スペースシップ2は操縦士2人に加え、乗客1人を乗せて米カリフォルニア州モハベ砂漠(Mojave Desert)の宇宙港から飛び立った。音速の3倍に当たるマッハ3(時速約3700キロ)で上昇し、高度89.9キロに到達した後、モハベ砂漠の宇宙港に無事着陸した。

 スペースシップ2が乗客を乗せた状態で飛行したのは今回が初めて。客席には、同社で宇宙旅行に向けた顧客の訓練を担当するベス・モーゼス(Beth Moses)氏が乗った。

 米国の定義では、宇宙空間は高度50マイル(約80キロ)から始まるとされる。スペースシップ2は昨年12月、高度81.9キロに到達し、初めてこの境界を超えていた。その際、創業者の英実業家リチャード・ブランソン(Richard Branson)氏は米国の宇宙船が人類を宇宙空間に運んだのは、米航空宇宙局(NASA)が2011年にスペースシャトル計画を終了して以降初めてだと語っていた。

 ただし、同社の宇宙船はまだ、国際的に広く受け入れられている宇宙との境界線「カーマンライン」(高度100キロ)を超えたことはない。またスペースシップ2は乗客6人が乗れる設計だが、2014年の試験飛行中に操縦士1人が死亡した事故が主な原因となり、飛行試験が予定より数年遅れている。

 スペースシップ2は離陸の際、より大型で、航空機2機が翼の先端でつながったような形状をした輸送機ホワイトナイト2(WhiteKnightTwo)で上空へ運ばれる。十分な高度に達した段階でスペースシップ2はホワイトナイト2から離脱し、ロケットエンジンを噴射して1分ほどで宇宙空間まで上昇。最高到達点での数分間、乗客は無重力を体験する。その後、降下、滑空して着陸体勢に入る。(c)AFP