【2月22日 AFP】シリアに渡航してイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に加わり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に「米国市民ではない」と宣言された米アラバマ州育ちの女性の父親が21日、娘の帰国を認めるよう求めて訴訟を起こした。

 ホダ・ムサーナ(Hoda Muthana)さん(24)は、ISに参加したことを後悔していると話し、ISの宣伝活動(プロパガンダ)を行った扇動の罪で裁判を受けることを希望している。

 トランプ大統領がムサーナさんの帰国を認めないよう指示したとツイッター(Twitter)で明かした翌21日、父親のアハメド・アリ・ムサーナ(Ahmed Ali Muthana)さんは、娘を米国市民と認め、子ども連れで米国に帰国できるよう取り計らうことを求めて、米首都ワシントンの連邦裁判所に提訴した。

 裁判の焦点となるのは、ムサーナさんが生まれた日付と、父親が外交官を辞めた日付の時系列だ。

 合衆国憲法は出生地主義を採用しており、米国内で生まれた人には自動的に米国籍が付与される。だが、外交特権で治外法権が認められている外交官の子どもは、例外だ。

 訴状によると、アハメド・アリさんは1994年、外交官として国連(UN)イエメン代表部に勤務していたが、イエメンで内戦が起きたため、同年6月2日にイエメン政府から外交官等身分証明票の返還を求められた。その後、同年10月28日に米ニュージャージー州でムサーナさんが誕生。それから一家は、アラバマ州バーミンガム(Birmingham)郊外のフーバー(Hoover)に移り住んだという。

 しかし、米国の公記録上ではアハメド・アリさんは1995年2月まで外交官となっていた。そのため、ムサーナさんがまだ子どもの頃にパスポートを申請した際、米市民権の有無をめぐって国務省とトラブルになった。そこで、娘の誕生前にアハメド・アリさんが外交官を辞めていた事実を確認する書類を国連米代表部に発行してもらい、パスポートの発給が認められた経緯があるという。

 アハメド・アリさんは、ムサーナさんの母親が1994年7月に米国の永住権を取得していることも指摘し、ムサーナさんには米国の市民権を得る権利があると主張している。(c)AFP/Shaun TANDON