【2月21日 AFP】英国から内戦下のシリアに渡りイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に加わった英国人女性、シャミーマ・ベガム(Shamima Begum)さん(19)が帰国を望んでいる問題で、英政府は20日、ベガムさんの市民権を剥奪する方針を改めて示した。ベガムさんの母親の出身地であるバングラデシュは同日、ベガムさんの入国は認めないと言明。ベガムさんは無国籍となる可能性に直面している。

 ベガムさんは2015年、15歳のときにシリアに渡航した。過去数か月間に息子と娘を亡くした後、先週末に同国の避難民キャンプで第3子となる男の子を出産。現在は赤ん坊を連れて帰国することを希望している。

 英国にいるベガムさんの親族の弁護士によると、市民権を剥奪するとの判断は、親族に19日届いた書簡で明らかにされた。ベガムさんは英政府の決定に「ショックを受けた」と述べている。

 英国のサジド・ジャビド(Sajid Javid)内相は20日、議会に対し、ベガムさんの市民権を剥奪する方針を説明した。一方、同内相は、国際法において市民権の剥奪が認められるのは、対象者が無国籍にならない場合のみであることを確認。対象者が二重国籍であるか、「他国の市民権を得られる限定的な状況」にあることが条件になるとした。

 ベガムさんの母親はバングラデシュの出身とみられ、ベガムさんには自動的に同国の市民権が与えられる可能性があるとの報道がなされているが、バングラデシュ外務省はこの可能性を否定。

 同省は「彼女は生まれつき英国民であり、バングラデシュとの二重国籍を申請したことはない」とした上で、「その家系にかかわらず、彼女が過去にバングラデシュを訪ねたことは1度もない」と説明している。

 ジャビド内相は、ベガムさんの第3子については異なる処遇をする可能性を示唆した。

 ベガムさんは英当局に対し、英国で子どもを育てることを認め、「哀れみ」を示すよう訴えている。(c)AFP/Alice RITCHIE