【2月19日 AFP】フランスで新設された世界のレストランを審査するアワード「ワールド・レストラン・アワーズ(The World Restaurant Awards)」の授章式が18日、首都パリで行われ、南アフリカ・西ケープ(Western Cape)州の漁村パーテルノースター(Paternoster)の浜辺にある小さなレストランが世界一の座に輝いた。

 優勝したのは席数20席のレストラン「ボルフハット(Wolfgat)」。シェフのコーバス・ファンデルメルベ(Kobus van der Merwe)さん(38)は30歳になってから真剣に料理を始め、大西洋を見渡せる海岸で毎日食材を探し回っている。店ではパンやバターも手作りしている。

 ボルフハットは築130年の小屋を使って2年前にオープンしたばかりで、女性が中心の従業員6人は正式なトレーニングを受けたことすらない。

 7種のコース料理は53ユーロ(約6600円)ほど。2度加熱したアマノリやエンゼルフィッシュのサンバル仕立て、ラムソンのマサラ、カサガイ、店の近くでとれたムラサキイガイや海藻などのメニューをそろえ、「地図に載っていない目的地」部門でもボルフハットは賞を獲得した。

 ファンデルメルベさんはAFPの取材に対し、「自分がこの賞に値するとは思えない。大きな賞だ。毎日ハーブなどをとりに外出している従業員がここにいるべきだ」と語った。今後も価格を上げるつもりはなく、賞は「アフリカ大陸、そして美しく多様性に富んだ私の国」にとっての勝利だと強調した。

 ワールド・レストラン・アワーズの候補は「世界のレストラン・ベスト50(World's 50 Best Restaurants)」の共同創設者の一人であるジョー・ワーウィック(Joe Warwick)氏が選出。男性50人、女性50人の審査員が「多様性と誠実さ」を基準に表彰店を選出した。

 同アワードでは「タトゥーを彫っていないシェフ」、「ピンセットを使わない厨房(ちゅうぼう)」など、冗談交じりの部門でも賞が争われた。「その年の新店」部門では東京にオープンしたばかりのレストラン「INUA」が優勝に輝いた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS