「スペイン語を話したから」と地元の2女性に職務質問、国境警備局を提訴 米国
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【2月16日 AFP】米北部モンタナ州の小さな町ハバー(Havre)の食料品店で昨年5月にスペイン語を話していたところ、国境警備員から職務質問を受けて一時拘束された地元女性2人が、米税関・国境警備局(CBP)を相手取り裁判所に訴えた。
当時撮影された映像には、税関・国境警備局のポール・オニール(Paul O'Neal)警備官がアナ・スーダ(Ana Suda)さんとマルタ・エルナンデス(Martha Hernandez)さんに対し、カナダと国境を接するモンタナ州でスペイン語を話す人が珍しいとの理由で身分証の提示を求める姿が映っている。
映像の中でオニール氏は、「ほとんど英語ばかりが話されているこの州にあって、あなたたちが店内でスペイン語を話していたからだ」と述べ、「(スペイン語を話すのは)違法ではない。ただ、この辺では(スペイン語を)聞くのが非常に珍しい」とスーダさんたちに話していた。
米国自由人権協会(American Civil Liberties Union)は14日、スーダさんたちの代理として、税関・国境警備局を提訴した。
2人は訴えの中で、オニール氏から約40分拘束されたと主張。カリフォルニア州出身のエルナンデスさんと、テキサス州出身のスーダさんは、店で牛乳と卵を買うために列に並んでいたところ、後ろに並んでいたオニール氏に声を掛けられた。オニール氏はエルナンデスさんの話し方について意見を述べ、2人にどこの出身か質問したという。
スーダさんは訴えの中で、「(オニール氏に対して)『正気なの?』と聞き返した」「オニール氏は『大真面目だ』」と答えた」と当時について語った。2人はさらに、身分証を見せるよう求められ、最終的に解放されるまでの間、店の外で職務質問を受けたと明かした。
米国自由人権協会のコーディー・ウォフシ(Cody Wofsy)弁護士はAFPの取材に対し、「この事件は、トランプ政権の発足後に悪化した国境警備官による虐待的行為の一例にすぎない。国境警備官はこういった行動を取ることに対して非常に大胆になった」と述べ、「(スーダさんとエルナンデスさんにとって)これはショッキングだった」「ハバーはとても小さい町だ。2人は、町から排斥され、屈辱を与えられ、自分の住む町、自分の国に歓迎されていないのだと感じさせられた」と指摘した。(c)AFP