トランプ大統領の国境の壁めぐる国家非常事態宣言、重大な法的課題も
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【2月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は14日、メキシコからの不法移民流入を阻止する南部国境の壁の建設予算を確保するため、「国家非常事態」を宣言する意向を表明した。
トランプ氏は何か月も前から、同政権が国境の「危機」と呼ぶ事態に言及し、国家非常事態を宣言する考えをほのめかしてきた。国家非常事態を宣言すれば、他の使途に割り当てられていた連邦予算をメキシコ国境での壁建設費用に振り向けられるようになる。しかし、この方法での壁建設は、重大な法律上の課題に直面することになる。
■トランプ氏に非常権限
国家非常事態法(NEA)は、大統領が具体的な理由を示した上で、国家非常事態を宣言することを認めるものだ。
国家非常事態が宣言されると、他の法律に基づく多数の非常権限の行使が可能となる。こうした非常権限によって、ホワイトハウス(White House)は戒厳令の布告、民間人の自由の制限、軍の拡充、財産の接収、貿易・通信・金融取引の制限といったことが可能となる。
しかし、非常権限も無制限というわけではなく、連邦議会や裁判所によって阻止される可能性もある。朝鮮戦争(Korean War)中の1952年、当時のハリー・トルーマン(Harry Truman)大統領は、鉄鋼業労働者の全国ストライキが予定される中、生産を続けさせるために米国の製鋼所を接収しようとした。しかし、鉄鋼各社は連邦最高裁に提訴。最高裁は、大統領の非常権限はストライキ回避目的での民間工場の接収を認めていないと判断し、原告の主張を支持した。