【2月14日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ラファ(Rafah)に、ライオンと触れ合えることを売りにしている動物園がある。ライオンは爪こそ除去されているが、歯は健在だ。

 1歳2か月の雌ライオン、ファレスタイン(Falestine)は来園者と触れ合っても大丈夫と思われるほど穏やかだ。

 経営者のムハンマド・ジュマー(Mohammad Jumaa)さん(53)は、「来園者と仲良くなれるよう、ライオンの攻撃性を抑えようと努力している」と語る。

 2週間前にファレスタインに手術を行った獣医師のファイズ・ハダッド(Fayez al-Haddad)氏は、ライオンの爪を除去することは残虐だとの見解を否定し、「私たちは子どもたちに笑顔と幸せを届けたいと思っている。高額な運営費に苦しんではいるが、来園者の数は増加している」と述べた。

 ただ、ハダッド氏によると半年以内に爪は元通りまで伸びるという。

 一方で大型ネコ科動物の治療などを行っているNGO団体「ポープロジェクト(Paw Project)」は、ライオンの爪を除去する行為は非人道的であり、ライオンに障害を負わせることになりかねないと非難している。

 この狭い動物園には子ども3頭を含む5頭のライオンがいる。同園は2004年、イスラエル軍の地ならし作戦で破壊されたが、2年前にジュマーさんが再建した。

 12日、笑みを浮かべる子どもたちが低いフェンス越しに見守る中、ファレスタインは手術後初めておりから出された。

 動物園を訪れた12歳の男児は「ライオンと遊べて楽しい。ライオンはかみついたり、服を引き裂いたりしなかった」と語った。(c)AFP/Adel Zaanoun