【2月14日 AFP】英紙タイムズ(The Times)は13日、国際陸上競技連盟(IAAF)が、女子800メートルの五輪女王キャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)は「生物学上は男性」に分類されるべきであり、女子の競技に出場するのであれば、男性ホルモンのテストステロン値を抑える薬を服用しなければならないと主張する見通しだと報じた。

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 セメンヤはテストステロン値が高い女子選手の出場資格を制限するIAAFの規定についてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴しており、翌週に行われる審理は注目を集めている。

 IAAFはセメンヤをはじめとした「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」のアスリートは、競技の公平性を守るため、薬でテストステロンの値を下げない限り大会に出場できないと主張し、争う見通しだという。セメンヤと南アフリカ陸上連盟(ASA)はこの新たな出場規則を不服としている。

 しかしIAAFは「生物学上は男性」という部分をすぐさま否定。「IAAFはDSDのアスリートを男性に分類などしない。その逆で、われわれは彼女たちの法的性別に疑問の余地はないと受け入れており、彼女たちが女子カテゴリーで競技に参加することを認めている」「しかしながら、仮にDSDの選手が睾丸を有し、男性と同等のテストステロン値を示しているのであれば、思春期を過ごす中で骨や筋肉のサイズや強度も男性と同様に増し、ヘモグロビンも増加する。どれも男性の方が女性よりパフォーマンスが高いゆえんとなる要素だ」

「そのため女子競技の公平性を守るためには、DSDのアスリートは国際大会に出場する前にテストステロン値を女性レベルにまで下げる必要がある」

 リオデジャネイロ五輪女子800メートル銀メダリストのフランシーヌ・ニヨンサバ(Francine Niyonsaba、ブルンジ)、同銅メダリストのマーガレット・ワンブイ(Margaret Wambui、ケニア)も、セメンヤと同じくテストステロン値が問題視されている。

 IAAFの弁護士ジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)氏はタイムズに対し、「もしCASが女子の出場資格は性別の法認定だけで十分だと判定し、IAAFが法的には女性だがテストステロン値が男性レベルだと検査で判明した選手に対し、女性レベルにその値を下げるよう求めることを許可しなかった場合、DSDやトランスジェンダーのアスリートがこの競技における表彰台と賞金を独占する事になる」とコメントした。

「テストステロン値が普通の女性レベルの選手に勝つチャンスはない」 (c)AFP