アフガニスタン侵攻を正当化するロシア、ソ連軍撤退から30年で変わる評価
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【2月15日 AFP】旧ソ連の当局は、自らが行ったアフガニスタン侵攻を非難していた。だが、30年後の今、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権下のロシアでは、アフガニスタン侵攻を肯定的に評価する人々が出てきている。
ソ連は、イスラム武装勢力の抵抗に遭っていたアフガニスタンの共産主義政権を支援するために同国に軍事侵攻したが、1989年2月15日の完全撤退まで戦闘は10年に及んだ。死者数はソ連軍が1万4000人以上、アフガニスタン人が100万人以上に上った。
当時の最高指導者ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)氏が命じたアフガニスタン撤退は、ソ連にとって屈辱的な敗退で、ソ連崩壊の一因ともなった。
1999年~2000年にプーチン政権で政府報道官を務めたミハイル・コジュホフ(Mikhail Kozhukhov)氏(62)は当時、ロシア日刊紙コムソモリスカヤ・プラウダ(Komsomolskaya Pravda)の特派員としてアフガニスタンを取材していた。AFPの取材に対し、撤退時、ソ連軍兵士たちは喜びも苦しみも感じていなかったと振り返り、「兵士たちが望んでいたことはたった一つ──無事に家に帰りたいということだけだった」と語った。
コジュホフ氏は、アフガニスタンと当時ソ連の一部だったウズベキスタンを分かつアムダリヤ(Amu Darya)川に架かる「友好橋」を、ソ連軍の装甲車に乗って渡ったことを覚えていると言う。それは最後の部隊の後ろから2番目の装甲車で、赤旗をはためかせていた。
「道沿いに山から下りてきた『幽霊』がいて、われわれが撤退するのを遠くから見つめていた」とコジュホフ氏は語る。ソ連は捉えどころのないアフガニスタンのゲリラ兵を「幽霊」と呼んでいた。「運命に翻弄(ほんろう)された雪深い村の住民たちの目は、憎しみと恨みに満ちていた」