【2月12日 AFP】国連(UN)は11日、イエメン内戦の最前線にある貯蔵庫に保管されている支援食糧が腐敗する恐れがあり、数百万人のイエメン市民が生命維持に必要な食料を入手できない状況が続いていると警鐘を鳴らした。

 西部の港湾都市ホデイダ(Hodeida)に位置する紅海製粉所(Red Sea Mills)の貯蔵庫には、数百万人が1か月食べていけるだけの穀物が保管されているとみられている。しかし支援団体は、数か月にわたってこの貯蔵庫へ立ち入れずにいる。

 国連世界食糧計画(WFP)の代表とイエメン国連担当特使は共同声明を出し、「WFPは370万人に1か月分の食料を提供できるだけの穀物を同製粉所に保管しているが、5か月間立ち入りができず、腐敗する恐れがある」と警告し、「貯蔵庫へのアクセス確保は、イエメン内戦の当事者が負うべき共通の責務だ」と強調した。

 ホデイダと同市内にある食料庫は、2014年からイスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装組織フーシ派(Huthi)に掌握されている。フーシ派は同時期から、イエメン領土の広範囲を支配下に置いた。

 翌年には、フーシ派と戦う暫定政権側を支持するサウジアラビアとその連合軍が軍事介入に踏み切ったことで、国連が「世界最悪の人道危機」と呼ぶ事態に陥った。1000万人以上が、餓死寸前に追い込まれている。(c)AFP