【2月12日 AFP】シンガポール国防省は11日、ここ1年半足らずの間に人気俳優1人を含む兵役中の男性4人が相次いで死亡し、批判の声が上がったことを受けて、徴兵制の必要性を改めて強調した。

 1965年の独立後、同国指導者らは国防戦略の軸として徴兵制の導入を決めた。

 男性のシンガポール国民と永住者は18歳になると、軍、警察、緊急当局のいずれかにおいて、2年間の国民役務に就くことが求められ、その後も定期的に訓練を受けることが義務付けられている。

 しかし過去1年5か月の間に不慮の事故が相次ぎ、兵役の最初の2年間のうちに3人が死亡、1人は予備兵として訓練を受けていた最中に死亡した。

 中でもシンガポールの俳優、アロイシャス・パン(Aloysius Pang)さん(28)が先月、ニュージーランドで予備兵としての義務訓練時、発射装備の修理作業中に負傷して後に死亡したことを受けて問題に注目が集まり、徴兵制を見直すべきだとの声が一部から上がった。

 シンガポールのウン・エンヘン(Ng Eng Hen)国防相は11日、議会に対して出した声明で、「国家防衛のため、シンガポール軍の基幹を成す国民役務制度を廃止すべきではない」と強調。

 ウン氏は、死亡事故については謝罪し、軍および国防省が追加の安全策を講じている最中だと説明した。

 同時に国民に対し、「男性がなぜ軍事訓練を受けなければならないのかというその理由を看過してはならない──それはつまり国を守るためだ」と訴えた。(c)AFP