【2月12日 AFP】検査結果やカルテ、手書きの診断書などを学習して、子どもの病気を医師と変わらない精度で診断できる人工知能(AI)プログラムの開発に成功したと、中国や米国の研究者らのチームが発表した。医師のような仕方で患者を診断するAIは世界初としている。論文が11日、医学誌「ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)」に掲載された。

 科学者70人から成るチームは、中国広東(Guangdong)省広州(Guangzhou)市の大型医療施設で診察を受けた小児科の患者、延べ約130万人から計1億件超のデータをAIにインプット。このAIはありふれた副鼻腔炎などについては95%の精度で診断できたほか、急性ぜんそく(97%)や細菌性髄膜炎と水痘(93%)、単核球症(90%)などでも高い診断精度を示した。

 開発したAIは、1人の患者に関する何百もの情報を、蓄積した膨大な医療知識と照合し、従来の統計学的手法や人間の医師が見逃していた関連性を見つけ出す。論文の共著者で、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)で研究する張康(Kang Zhang)氏はAFPの取材に対し、構造化されていないデータや「自然言語」を取り込んで、人間の医師と同じように患者の病気を判断するAI技術はこれが初めてだと述べた。

 張氏は「医師の仕事の大半はAIでできるとみている」としながらも、AIによる医療診断は人間の監視が必要な自動運転車のようなもので「AIが医師に完全に取って代わることは永遠にない」と断言。AIはあくまで、医師がこれまでよりも短時間で安価により良い仕事ができるようにするものにすぎないと話した。(c)AFP/Marlowe HOOD