【2月20日 AFP】日本政府は昨年12月、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、商業捕鯨を再開することを表明した。その理由の一つとして、伝統文化の保護が挙げられている。

 東京から約70キロ、房総半島の南端に位置し、太平洋に面する南房総市。この地域に捕鯨の文化が400年以上受け継がれていることはあまり知られていない。全国でも数少ない捕鯨会社の一つ「外房捕鯨(Gaibo Hogei)」は今もここで操業を続けている。

 外房捕鯨の加工工場で働く男性(32)は、地元の捕鯨産業が縮小していることを認める。だが、地元にとって捕鯨は、夏の漁の時期を中心にいまだに「あるべき存在」なのだと言う。同社は住民や観光客にクジラの解体を公開しており、地元の小学生たちも鯨肉が切り離されていく様子を見学に来る。

 外房捕鯨の庄司義則(Yoshinori Shoji)社長(57)は、日本政府によるIWC脱退の決定について、「遅きに失した感はあるが脱退して正解」としながら、「全面的に」支持すると語った。外房捕鯨は毎年、ツチクジラ26頭を捕獲している。ツチクジラはIWCの捕鯨禁止対象種に指定されていないが、日本政府が自主規制による頭数制限を設定している。捕獲したツチクジラは国内に5か所ある捕鯨基地の一つ、和田漁港(Wada Port)に水揚げされる。

 一方、IWCの禁止対象種となっているミンククジラの捕獲についても、6月に日本が正式にIWCから脱退すれば「もちろんやりたい」と庄司氏は意欲を示している。