【2月9日 AFP】米国のザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)アフガニスタン和平担当特別代表は8日、アフガンで7月に予定されている大統領選前に和平合意を結ぶことが望ましいとの見解を示す一方、長きにわたって敵対していた旧支配勢力タリバン(Taliban)を信用していないと警戒感を示した。

 ここ数週間タリバンと協議してきたハリルザド氏は、米軍の撤退は現場の状況次第となり、詳細なスケジュールは何も決まっていないとも強調した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が多数の民間人と軍人が死亡したアフガン紛争の終結を急ぐ中、タリバンとの交渉が進められている。アフガンには今も、約1万4000人の米兵が駐留している。

 ハリルザド氏は、米首都ワシントンにあるシンクタンク「米国平和研究所(US Institute of Peace)」で行った講演で、「われわれの立場からすると、和平合意のタイミングは早ければ早いほど良い」「和平合意の締結をとりわけ困難にする選挙が行われる。しかし、選挙前に和平合意に至ることができるならば、アフガニスタンにとってその方が良い」との見方を示した。

 アフガニスタンの大統領選は当初は4月20日に予定されていたが、和平協議が行われる中、3か月延期された。不正疑惑で混乱した2014年の大統領選で当選したアシュラフ・ガニ(Ashraf Ghani)大統領は、再選を目指している。

 ハリルザド氏は先週、和平合意の「枠組みの草案」を発表する一方、大きな障害が残っていると警告していた。

 タリバンが米国の「操り人形」とみなすアフガン政府が参加していないなどの数多くの理由から、和平協議には懐疑的な見方も出ている。

 ハリルザド氏は、タリバンとアフガン政府が「テーブルを挟んで向かい合い、合意に達しなければならない」と述べ、米国の「重要な目標」はアフガン国内の交渉だと指摘した。

 また、タリバンは外国の過激派をかくまわないと約束してきたが、専門家によると、今もそうした過激派の潜伏を支援しており、信用できないという。(c)AFP/Thomas WATKINS