【2月7日 AFP】南太平洋のニューカレドニア(New Caledonia)に生息するカラスは道具を作ることで知られているが、6日に発表された研究論文によると、彼らはまるで優れた工芸品を作る名工のように、道具作りに最適な材料を明確に選別していることが分かったという。論文には、森の下生えに茂る無数の低木の中からカラスが目的の植物を特定していることが記された。

 賢いことで有名なこのカラスは、人間を除き、独自の道具を製作することが知られている数少ない動物種。彼らは、植物の葉や茎、枝を使って数々の道具を作り、それらを巧みに利用して地中の虫や枯れ木の中にいる獲物を捕らえるのだ。

 英セントアンドルーズ大学(University of St Andrews)生物多様性センター(Centre for Biological Diversity)の研究員、バーバラ・クランプ(Barbara Klump)氏は、「この鳥が生息しているのは、ペーパーバークの木やさまざまな種類の低木が多数存在する乾燥林」であるとしながら、「そのような環境において、彼らは適切な材料をどのようにして見分けているのだろうか。森林には非常に多くの選択肢があるため、彼らが自分の必要としているものを具体的に把握していることは明らかだ」と続けた。

 カラスがフックを作る際に好む植物については、茎や枝の部分が丈夫で変形しても割れにくい性質を持つ特定の顕花植物であることが、過去の研究ですでに示されていた。

 クランプ氏とセントアンドルーズ大のチームによる今回の実験では、ニューカレドニア原産の植物数種類が用いられた。実験では、過去の研究で判明しているカラスが好む植物とそれとよく似た葉を持つ植物とを同時に与えた。その結果、カラスは植物の違いをしっかり把握している様子で普段好んで使う植物を高い頻度で選択した。これはある程度予想された結果だった。