平昌冬季五輪から1年、残された「レガシー」のむなしい現実
このニュースをシェア
【2月27日 AFP】2018年2月の平昌冬季五輪から1年。わずか12か月前に世界最高のスキーヤーやスケーターが金メダルを競い合った会場は、すでに閑散とし、会場の将来や維持費に関する議論が巻き起こっている。
韓国は平昌五輪に向けて、六つの競技会場と開閉会式用のスタジアムを新設。加えて六つの既存施設を改修するのに合計8億ドル(約885億円)を投じた。
ところが今、主要会場の江陵オリンピック公園 (Gangneung Olympic Park)は年配の人が時折散歩するのみで、照明の落ちた氷のないスピードスケート会場には空虚な雰囲気が漂っている。地元の尹誠彬(Sung-bin Yun、ユン・ソンビン)がスケルトンでアジア勢初の金メダルを獲得した平昌のスライディングセンターは、施設への道が封鎖されて入ることもできない。そしてアルペンスキーの滑降コースは、リゾート開発の方針と自然を復元する約束との間で板挟みとなり、抗議の対象となっている。
直接的な費用だけでなく、韓国はソウルから江陵(Gangneung)までの200キロメートルの高速鉄道の開通など、五輪に向けたインフラ整備に100億ドル(約1兆1000億円)以上をつぎ込んだ。韓国でもとりわけ貧しい江陵では、五輪をきっかけに一帯の経済が活性化することが期待されたが、国内の冬季スポーツの人気は限定的で、ボブスレーやリュージュに至っては五輪前はほとんど知られていなかったこともあって、観光ブーム到来への期待は今のところ見込み外れに終わっている。
会場が大会後に無用の長物と化す問題は、冬季五輪の積年の課題で、国際オリンピック委員会(IOC)も、近年は負担を覚悟で開催に名乗りを上げる国がなかなか見つからずに苦労している。中国の北京に決まった2022年大会は、最終的に立候補したのは2都市のみ。2026年大会も、見送りが相次いだ結果、立候補を表明しているのはイタリア・ミラノ(Milan)とスウェーデン・ストックホルムだけとなっている。