【2月6日 AFP】北朝鮮問題を担当する国連(UN)の専門家パネルは、同国政府は核・弾道ミサイル開発計画を無傷で維持しており、米軍の攻撃に備えて空港などの民生施設に兵器を保管していると指摘した。AFPが5日、国連安全保障理事会(UN Security Council)に提出された機密報告の記述を確認した。

 専門家パネルは報告で、北朝鮮政府は石油製品や石炭の密輸能力を維持し、武器禁輸にも違反しており、同国への制裁は「無効」だったと指摘。「DPRKは『斬首』攻撃を実質的に防ぐ目的で、空港などの民間施設を弾道ミサイルの組み立てに利用し、試験を行っている」とした。「DPRK」は北朝鮮の正式な国名「朝鮮民主主義人民共和国」の英文略称。

 報告書は、北朝鮮の港と空港で、違法な石油輸入・石炭輸出や北朝鮮国民による大量の現金輸送といった決議に違反する行為が横行していることも分かったとしている。

 北朝鮮は依然として武器取引禁止にも違反しており、シリア、イエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系の反政府武装組織フーシ派(Huthi)、リビア、スーダンに軽火器を提供しようとしているという。

 国連の金融制裁にもかかわらず北朝鮮の金融機関は少なくとも5か国で活動しており、制裁を逃れるため、複数の国で北朝鮮の外交官らが銀行口座を管理しているという。

 報告の内容は、北朝鮮が兵器開発計画を断念するとは考えにくいが、制裁緩和を勝ち取るためにその活動を縮小することはあるかもしれないという米情報機関の評価と軌を一にするものだ。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は今月、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長と2回目の首脳会談を予定している。米側は会談で、北朝鮮の兵器開発計画の放棄に向けて具体的な進展を得たい考え。(c)AFP/Carole LANDRY