【2月3日 AFP】イランからオーストラリアへの亡命を希望し、豪の関連法の下、パプアニューギニアの収容施設での生活を余儀なくされていたクルド難民の男性が1月31日、メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」を使って執筆したとされる作品で、豪の権威ある文学賞の一つを受賞した。

 豪ビクトリア(Victoria)州政府はウェブサイトで、2013年からパプアニューギニアのマヌス島(Manus Island)の施設に収容されていたベフルーズ・ブチャニ(Behrouz Boochani)氏の作品「No Friend But the Mountains: Writing from Manus Prison(仮訳:山だけが友──マヌス収容所から)」が、同州首相文学賞(Victorian Premier's Literary Award)に選ばれたと発表した。

 ジャーナリストで映像作家でもあるブチャニ氏には、賞金10万豪ドル(約800万円)が贈呈される。

 同氏はノンフィクション部門でも受賞したため、さらに2万5000豪ドル(約200万円)を受け取る予定だという。

 同州政府は「同賞は、本作の翻訳者で、5年以上にわたってブチャニ氏と共に物語に命を吹き込んできたオミド・トフィギアン(Omid Tofighian)氏に手渡された」と明かした。

 報道によると、ブチャニ氏は携帯電話で作品を執筆し、書いた文章をテキストメッセージで少しずつトフィギアン氏に送信していたという。

 収容施設は昨年、地元裁判所の判断で閉鎖され、亡命申請者らはマヌス島内の別の場所への移動を強いられたとされる。(c)AFP