【2月2日 AFP】アルペンスキーのリンゼイ・ボン(Lindsey Vonn、米国)が1日、次週開幕する世界選手権(FIS Alpine World Ski Championships 2019)を最後に、19年間の輝かしい競技生活から引退することを表明した。

 今季けがに悩まされ続けていたボンは、インゲマル・ステンマルク(Ingemar Stenmark)氏が持つW杯歴代最多記録の通算86勝にあと4勝まで近づいていた。前週はドイツ・ガルミッシュパルテンキルヘン(Garmisch-Partenkirchen)のレースを棄権しており、その際には先月20日にイタリア・コルティナダンペッツォ(Cortina d'Ampezzo)の女子スーパー大回転で失格になったレースが現役最後になる可能性があることを示唆していた。

 34歳のボンは自身のフェイスブック(Facebook)に、「ここ2週間は、人生で最も感情的に厳しい日々でした」「自分の体が語りかけてくる現実と、自分はまだできると信じている精神と心がせめぎ合っていました」と投稿した。

「眠れない夜をたくさん過ごした後、ようやくスキーを続けることはできないことを受け入れました…。私の体は治せなくなるまで壊れてしまい、そのことで夢に見ていたような最後のシーズンは送れなくなりました」

 W杯でボンが記録した通算82勝の内訳は滑降43勝、スーパー大回転28勝、大回転4勝、回転2勝、そして複合5勝となっている。昨季は計5勝を記録してステンマルク氏の記録を追いかける勢いを取り戻していたものの、昨年末に膝を負傷して全治を目指すにはかなり厳しい状況となっていた。

「正直なところ、悔しいのは引退することではありません」「目標に届かないまま現役を退くことは、自分にとって生涯つきまとうことになるでしょう」

 スウェーデンのオーレ(Are)で開催される今年の世界選手権で、ボンは5日のスーパー大回転と10日の滑降に出場する予定となっており、仏バルディゼール(Val d'Isere)で行われた2009年大会で両種目を制したときの調子を呼び覚ますことを目指している。(c)AFP