【2月1日 AFP】旧ソ連の歴史で最も暗い時代とされる「レニングラード(Leningrad)包囲戦」を題材にしたコメディー映画が、ロシアの世論を二分している――「冒涜(ぼうとく)的」か、それとも現代ロシア的に解釈した必見の作品なのか?

 問題となっている映画『Prazdnik(休暇)』は、ナチス・ドイツ(Nazi)に包囲されたレニングラード(現サンクトペテルブルク、St. Petersburg)で、共産党とのコネのおかげでぜいたくな暮らしを送っているボスクレセンスキー(Voskresensky)一家を描いている。

 1日のパンの配給量は1人当たりわずか125グラムで、約80万人が飢え死にした時代だ。だが、ボスクレセンスキー家は、山積みにされたチキンとシャンパンで1942年の新年を祝っている。物語は、子どもたちが予期せぬ客を家に連れてきたところから喜劇に変わる。ボスクレセンスキー一家は、なぜ、自分たちの食卓にはごちそうが並んでいるのか説明に四苦八苦する。

 アレクセイ・クラソフスキー(Alexei Krasovsky)監督はAFPの取材に、この作品はレニングラード包囲戦を軽視しているわけではなく、現代のロシアにもこのような不平等と不正が横行していることに警鐘を鳴らすため制作したと、説明した。

 クラソフスキー監督は、政治家から批判を受けたため、文化省への配給許可申請を断念し、オンラインで公開することにした。

「この主題を選んだのは現代も、包囲されて生きているようなものだからだ。私たちはそれを見て見ぬふりをしているだけだ」と監督は語る。「生活水準がどんなに下がっているか、オンラインでシェアしたものや平和的な抗議活動に参加しただけで逮捕される。だが、私たちは目をそらす」