【1月31日 AFP】(更新)日産自動車(Nissan Motor)前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告(64)は31日、逮捕後初の外国メディアとのインタビューでAFPの取材に応じ、保釈が認められず勾留が続いている現状は「他の民主主義国であったら普通ではない」と非難した。また、自分はかつて自ら率いた会社に裏切られた犠牲者だと述べた。
 
 昨年11月19日に逮捕され、会社法違反(特別背任)で起訴されて勾留中のゴーン被告が外国メディアに語ったのは、今回が初めて。東京拘置所で、AFPと仏日刊紙レ・ゼコー(Les Echos)の取材に英語で応じた。

 ゴーン被告は、現在の状況について「私はなぜ、有罪を宣告される前から罰せられているのか?」と疑問を呈し、保釈請求が却下されたことは「他の民主国家であったら普通でない」と非難した。

 また、自分の逮捕は「裏切りの物語」だという点に「疑いの余地はない」ときっぱり主張。「私の目の前には、日産の一派がいる。この件に関わった100人を超える人々だ。検察当局の70人もいる。そして、私は70日以上も拘束されたままだ」「電話もパソコンもない。どうやって私自身を弁護できるというのだ?」と語った。

 ゴーン被告は、3社連合を組む日産、仏ルノー(Renault)、三菱自動車(Mitsubishi Motors)の経営統合を進めようとしていた自分の計画に反対する人々の「策略」が逮捕の背景にあり、自分は犠牲者だとも主張。「経営統合計画については反対と不安があった」と述べた。

 さらに「毎日、私にごみを投げつけてくる一派がいる」とゴーン被告は発言。「検察にかけられた容疑だけでなく、日産からも疑われている。彼らは多くの事実を文脈から切り離している。私の評判を傷つけるために、事実をゆがめているのだ」と語った。

 黒のトラックスーツにサンダル姿のゴーン被告は、感情を見せずに取材に応じたが、家族と話せないことは「非常につらい」とコメント。「11月19日以降、妻のキャロルや子どもたちとも電話できていない」と訴えた。

 また、夜間も照明がつきっぱなしで、時計もないため「時間の感覚がなくなっている」と述べ、「外へ出られるのは屋上に30分だけ。心底、新鮮な空気が吸いたい。確かに私は強い人間だが、もちろん疲れている」と語った。

 ただ、逮捕・勾留されている今もなお「私は日本を愛しているし、日産も愛している」と話した。(c)AFP/Anne BEADE