厳しいアフガン情勢、政府の支配力がじわじわ低下 米監査機関
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【1月31日 AFP】米政府の監査機関「アフガニスタン再建特別監察総監(SIGAR)」は30日、米軍が反政府勢力への空爆を強化しているにもかかわらず、アフガン政府は国内の支配力をじわじわと失っているとの分析結果を発表した。
米政府が17年にわたる内戦の早急な終結を模索し、旧支配勢力タリバン(Taliban)との対話を推進する中、現地の治安状況の厳しい現実が明らかになった。
北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンで展開する米主導の「確固たる支援任務(RSM)」から提供されたデータに基づき、SIGARがまとめた報告によると、アフガン政府が支配力や影響力を保持する地域に暮らす国民の割合は、2018年10月31日時点で63.5%だった。
前四半期は65.2%で、SIGARは減少した要因について、国内におけるアフガン政府の支配力・影響力が低下したためだと指摘している。
SIGARによれば、アフガン全407地区のうち、政府の管理下にあるのは53.8%にとどまる。一方、アフガン情勢に詳しい専門家は、政府の支配地域はもっと狭いとみている。
現地の治安情勢が危機的状況にあることは、米軍の空爆回数が前年比56%と劇的に増えている事実からも浮き彫りになっている。米軍は2018年1月から11月までに6823回の空爆を行った。
米国防総省はSIGARの指摘に対し、「アフガニスタンと米国にとって有利な条件で内戦を終結させる戦略という主要目的に集中する」ほうが重要だと述べた。(c)AFP/Thomas WATKINS