【1月30日 MEE】サウジアラビアなどアラブ3か国とイスラエルが、シリアをアラブ連盟(Arab League)に復帰させる計画を水面下で進めていることが、ミドルイースト・アイ(MEE)の取材で明らかになった。シリアはバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権が反体制派を弾圧したことなどから、2011年11月以来、アラブ連盟の参加資格を停止されているが、4か国は昨年末に開いた情報当局の秘密会合で、停止の解除に向けた外交努力を進めることで合意した。内戦で優位を固めたアサド政権との関係を修復し、域内でのトルコとイランの影響力をそぐ狙いがある。

 複数の湾岸関係筋によると、秘密会合は昨年12月に湾岸某国の首都で開かれ、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、イスラエル4か国の情報機関幹部が集まった。イスラエルの対外特務機関、モサド(Mossad)のヨッシ・コーヘン(Yossi Cohen)長官も出席した。

 会合では、4カ国にとって域内最大の軍事的ライバルはイランではなくむしろトルコだとの認識でも一致。その上で、トルコの影響力に対抗する案について話し合ったという。

 イスラエル側はその席で、イランは軍事的に封じ込めることができるが、トルコははるかに大きな力を持っているとの見方を示した。コーヘン長官はこう言ったとされる。「イランの力はもろい。トルコの脅威こそ本物だ」

 この会合が開かれた背景には、もう一つ事情があった。昨年10月、米国を拠点に活動していたサウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が、トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館内で殺害された事件を受けて、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権とサウジアラビア政府の関係が冷え込んだことだ。

 米中央情報局(CIA)や米議会はカショギ氏の殺害について、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子に責任があると断じている。しかし、トランプ氏はムハンマド皇太子の責任を追及しない考えを公にした。

 4カ国の情報当局の会合では「トランプはできるだけのことをやった。あれが限界だ」という発言もあったという。

 こうした問題に対処すべく、秘密会合では次の4つの方策を取ることを申し合わせた。