【1月30日 AFP】米国は29日、北極圏から流入した冷たい空気による猛烈な寒波に見舞われた。当局は人命に関わる恐れがあると警告している。

 すでにカナダの一部地域で観測されていたカ氏0度(氷点下17.8度)以下の気温は米中西部全域に広がり、米東海岸にも広がりつつある。米中西部は先週末、暴風を伴った最大30センチの積雪に見舞われたばかり。この嵐により、これまでに少なくとも2人が死亡した。

 ノースダコタ・サウスダコタ両州からオハイオ州にかけて約1900キロの範囲に広がる10ほどの州の気温は、観測史上の最低記録を更新しないまでも、ここ数十年で最も低くなるとみられている。

 この大寒波は、通常は北極の上空にある「極渦」と呼ばれる強力な気流の渦によって極地域に閉じ込められている冷たい空気が、極渦を離れて南下したために引き起こされたもの。

 米国立気象局(NWS)の予報によると、30日までには中西部全域で気温が氷点下23~40度まで低下する。ミネソタ州の一部地域では、強風により体感気温が氷点下54度程度になるところも出るとしている。米国第3の大都市シカゴでは、南極大陸の一部よりも気温が低下するとの予報が出されており、住民が暖を取れる場所が約160か所に開設された。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はツイッター(Twitter)に「地球温暖化はいったいどうしたんだ?急いで戻ってきてくれ、われわれにはお前が必要だ!」と書き込んだが、国立気象局を擁する米海洋大気局(NOAA)は「冬の嵐は地球温暖化が起きていないことを証明するものではない」と、2015年の解説記事へのリンクを添えてツイートした。(c)AFP/Nova SAFO