【1月29日 AFP】ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州のラン(Rann)で、ここ数日にかけて、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」の攻撃を恐れ、3万人超が国境を越えてカメルーンに避難した。国連(UN)などが29日、明らかにした。

 カメルーンとの国境付近にある同州北部の町ランは、ボコ・ハラムの襲撃を繰り返し受けており、直近では今月14日に軍の基地が標的となった。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のババル・バローチ(Babar Baloch)報道官はスイス・ジュネーブで記者団に対し、ボルノ州で発生した最近の戦闘により、8万人超が避難を余儀なくされていると指摘。

「すべての住民がパニックに陥ったようであり、命を守るための先制措置として避難している」「ナイジェリア人の避難民は、周辺各国の辺境地帯に位置し、貧困にあえぐ地域に押し寄せ続けている」「全員がパニックに陥り、生き延びるために前もって逃げてきたようだ」と語った。

 ランで活動する人道団体は、14日の襲撃により約9000人がカメルーンへ避難を強いられたものの送還されたと指摘。一方でカメルーンは周辺諸国によるボコ・ハラムへの軍事的対応の一環として、ランに増援部隊を展開させた。

 ただバローチ報道官は「状況は少し落ち着いたが、われわれが現在把握している限りでは多国籍部隊は撤退している」とし、避難民らは援助関係者に対して、ボコ・ハラムが「戻ってくると誓っていた」と話していると説明した。

 避難民の一人はAFPに対し、現在「ランには住民が一人もおらず」、町は28日以降ボコ・ハラムが「掌握」していると説明。「われわれは皆、カメルーンの兵士が撤退してすぐに町を出た。疑いなく攻撃を仕掛けてくるボコ・ハラムにかなわないと分かっているからだ」と話した。

 さらに駐屯していたナイジェリアの兵士も、「兵員が少なすぎてボコ・ハラムの攻撃に対抗できないため」に撤退したという。(c)AFP/Aminu ABUBAKAR, with Nina LARSON in Geneva