【1月29日 AFP】フランス南部タラスコン(Tarascon)で28日、拘束されていた容疑者を裁判所に護送していた車が銃で武装した男らに襲われ、容疑者は男らと共に逃走した。地元検察が同日、明らかにした。

 事件はちょうど夜が明けようとしていた午前8時半(日本時間同日午後4時30分)ごろ、裁判所前で起きた。武装強盗などの容疑で2017年9月から拘束されているロトフィ・ブスアック(Lotfi Boussouak)容疑者(27)はこの日出廷することになっており、職員3人に付き添われ、拘留施設から裁判所に護送されていた。

 車が裁判所に到着したところ、銃を持って待ち伏せしていた男2人が車に向けて発砲。ブスアック容疑者は襲撃者らと共に走って逃走したという。

 裁判所のインターホンを鳴らそうと車を降りた職員は男に銃床で殴られ、別の職員は割れたガラスに当たったが、いずれもけがはなかったという。護送車には、フロントガラスなどに銃痕があり、現場からは薬きょう11個が回収された。中には自動小銃のものも含まれていた。

 ブスアック容疑者には14の前科があり、かなり悪質な犯罪組織との関連が指摘されていながら、特別監視の対象にはなっていなかった。刑務官労組のカリム・テルキ(Karim Terki)氏は、ブスアック容疑者は過去にも脱獄を試みていたと指摘し、「彼はまた脱獄を試みようとして何か月もいい人を演じていた。(当局は)本当に認識が甘い」と語った。

 フランスでは昨年、札付きの犯罪者、レドワヌ・ファイド(Redoine Faid)受刑者がヘリコプターをハイジャックして刑務所から逃走するという、ハリウッド映画を地で行く脱獄事件があり、刑務所の警備や情報収集の強化を求める声が上がっていた。(c)AFP