【1月28日 AFP】北極海(Arctic Ocean)に面するロシア・サハ共和国はここ数年、ゴールドラッシュならぬ「マンモスラッシュ」に沸いている。中国政府が象牙の輸入・販売を禁止したため、大昔に絶滅したゾウの祖先であるマンモスの牙の需要が増加していることが背景にある。

 マンモスの化石は、広さ300万平方キロのサハ共和国の広範囲にわたり埋まっている。サハ共和国の土壌は永久凍土で、これがマンモスを保存する巨大冷凍庫の役割を果たしている。マンモスの牙は「氷の象牙(アイスアイボリー)」の名で知られており、当局は、今もサハ共和国に推定50万トン分の牙が埋まっていると推定している。

 ロシアのマンモスの牙の輸出量は、2017年は計72トンで、その80%以上が中国に輸出された。

 地元の猟師や漁師は長年、川岸や海岸近くでマンモスの骨を採掘してきたが、価格はこの10年間で劇的に上昇した。

 中国では、高品質のマンモスの牙は1キロ当たり1000ドル(約11万円)以上の値が付く。サハ共和国北部は農業に不向きな気候で、仕事もないため、地元住民はマンモスの牙が安定した収入を得るための唯一の手段だと考えている。

 人々は、特定の地域で採掘を行うための免許を有料で取得している。認可を受けて10年以上採掘を行っているある男性は「ここでは今、マンモスラッシュが起きている」と語る。2013年には、マンモスの牙の採掘と売買を包括的に規制する法案がロシア議会に提出されたが、なぜかいまだに採決が行われていないと、不満を漏らす。

 ロシアからマンモスの牙を輸出することは、近年、ますます困難になっている。