仏の「黄ベスト」デモ11週目、主導者は欧州選挙に出馬表明
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【1月27日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の政策に抗議する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)運動」は26日、11週目に突入し、国内各地で大規模デモが行われた。一部都市では治安部隊との衝突も発生し、抗議デモの収拾を図ろうとするマクロン氏に異議を突き付ける形となった。
内務省によると、26日のデモにはフランス全土で推計6万9000人が参加。前回19日の約8万4000人からは減少した。首都パリのデモ参加者は約4000人。前回は約7000人だった。
パリでは、黄ベストデモの定例集結場所の一つ、バスチーユ広場(Place de la Bastille)で、催涙ガスや放水車でデモ隊を制圧しようとする警官隊に、一部参加者らは建築中のビルから投石。地元当局によると、パリ全体での拘束者は223人に上った。
デモ隊と警官隊との衝突は、西部のナント(Nantes)とエブルー(Evreux)、南部モンペリエ(Montpellier)でも発生。地元当局によると、モンペリエでは「花火のような装置」で警官隊員1人が負傷した。さらに、一貫して黄ベスト運動を強く支持してきた南西部の2都市、ボルドー(Bordeaux)とトゥールーズ(Toulouse)でも、数千人規模のデモが行われた。
パリなど複数の都市では、夜間もデモの継続が計画されていたが、パリのAFP記者によると、レピュブリック広場(Place de la Republique)では警官隊が催涙ガスや放水砲、閃光(せんこう)弾(スタングレネード)を用いて集まっていた数百人を退散させた。
■黄ベスト内部にも亀裂
その一方で、黄ベスト運動の内部に不協和音が生じ始めている。
先週には黄ベスト運動に政治的な動きが新たに見られた。運動の中心人物の一人である看護師のイングリッド・ルババスール(Ingrid Levavasseur)氏(31)が、5月に行われる欧州議会選挙に黄ベスト運動の候補者として出馬すると表明したのだ。この発表後に行われた世論調査は、黄ベスト運動の得票率が13%に上る可能性を示唆した。
だが、黄ベスト参加者全員がこの動きを歓迎しているわけではない。多くの参加者たちが求めているのは、一般市民の意見を政策に反映させるための国民主導による国民投票の実施だ。この要望を、政府側は一貫して拒否している。
また、マクロン政権支持派も黄ベスト運動に対抗し、27日に初の「赤いスカーフ」デモを行う。「赤いスカーフ」の人々は、自身らを「民主主義と民主主義傘下の制度」を擁護する「物言わぬ多数派」の代表だとし、黄ベスト運動の暴力行為を非難している。(c)AFP/Shahzad ABUL