【1月27日 AFP】中国の研究班が24日、遺伝子を操作して睡眠障害のあるサルをつくり、さらにそのクローン5匹を誕生させたとする研究論文を発表した。同班は、ヒトの精神衛生問題の研究に役立つとしている。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の神経科学研究所(Institute of Neuroscience)の研究班は、マカク属のサルの遺伝子を操作して概日リズム障害を生じさせた。これにより、サルの体内時計の機能が狂い、正しいリズムでの入眠と覚醒が得られなくなった。

 続いて研究班は、このサルのクローンを半年の間に5匹誕生させた。すると5匹ともに、うつや不安、統合失調症が疑われる行動など、睡眠障害に関連する精神疾患の兆候が見られたという。

 24日付の英文総合科学誌「ナショナル・サイエンス・レビュー(National Science Review)」に掲載されたこの論文について、中国メディアは世界初とたたえた。

 同神経科学研究所の所長で論文共著者の蒲慕明(Poo Muming)氏は国営メディアに対し、今後も新薬開発や最新治療研究の実験用に、多様な脳障害があるクローンのサルを誕生させたいと意欲を示した。

 また、蒲氏は、クローンのサルを用いれば健康なサルが実験に使用されることが世界中で減り、動物福祉にも貢献できると話している。

 だが、このような技術革新は論争を引き起こすことが少なくない。

 昨年11月には、やはり中国の科学者である賀建奎(He Jiankui)氏が、エイズウイルス(HIV)に感染している父親の子が同ウイルスに感染しないよう、世界で初めて遺伝子編集を行って双子の女児を誕生させたと発表し、科学界に衝撃を与えた。賀氏は現在、警察の捜査対象となっている。(c)AFP