【1月23日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は22日、スイス・ダボス(Davos)で開催されている世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)にビデオ会議システムで参加し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領や英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)などを引き合いに出して国際政治の「混乱の波」を称賛した。

 米政府機関の一部閉鎖が続いている影響を受けてビデオで参加することになったポンペオ氏は、世界の財界エリートを前に演説。トランプ大統領の国際機関批判や、国家主権を守るための「強固な国境」を求める呼び掛けを改めて繰り返し、「世界中で新しい風が吹き荒れている」「この混乱は前向きな動きと言ってよい」と述べた。

 近年「有権者は、自分たちの利益を代表していないと思う政治家や政治勢力を無視するようになってきている」と指摘していたポンペオ氏は、演説の中でエリート層を当惑させた2016年の米大統領選やブレグジットをめぐる英国民投票、ポピュリスト政党「五つ星運動(Five Star Movement)」が勝利を収めたイタリア総選挙、極右のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)氏が当選したブラジル大統領選を例に挙げた。

 さらに驚いたことに、2017年の仏大統領選にも言及した。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、中道・独立系候補として当選したものの、最近では反政府運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」によって窮地に立たされている。黄色いベストの参加者らは、庶民の経済不安に無関心だとして、マクロン大統領を非難している。昨年マレーシア前首相の汚職疑惑を受けて、マハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)氏が首相に復帰したことも世界の新しい方向性の一例として挙げた。

 ポンペオ氏は司会者の質問に対し、トランプ氏の国際組織批判が反発を招いていることは認めた一方、米国が孤立を深めているとの見方は否定。「指導力を発揮したり、難しい問題を提示したりすると、他の人たちに多少の懸念を招くことがあるのは事実だ。おそらくそういった人たちは、こうした問題に直面する準備ができていないのだろう」「しかし、われわれやトランプ大統領は準備ができている。われわれは、こうした課題には正面から立ち向かわなければならないと分かっている」と述べた。(c)AFP