【1月22日 AFP】テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は21日、2か月余り後に迫った同国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)をめぐる協定案を維持するため、EUとのさらなる協議を求めていく方針を示したが、行き詰まり打開に向けた新たな解決策の提示には至らなかった。

 英下院は先週、メイ首相がEUと合意した協定案を大差で否決。英国が3月29日に「合意なき離脱」に突入する可能性が高まった。メイ首相は、対立政党との話し合いを開始する形でこれに応じたが、21日に下院に対して行った説明では、劇的に異なるアプローチは示さなかった。

 メイ氏は野党・労働党に対し労働者の権利保障を誓い、今後のEUとの貿易交渉では議員の意見を一層取り入れると約束。一方で、EUとの新貿易協定締約までアイルランド国境で従来通りの人や物の移動を認める「バックストップ」案に関しては、与党・保守党と北アイルランドの民主統一党(DUP)の間にある懸念への対処に専念すると表明した。

 メイ氏は議員らに対し、「私は今週、DUPも含め…同僚議員らと話し合いを進めていく。その議論の結論を、EUに伝えるつもりだ」と述べた。

 しかし野党は、議員らが協定案を拒絶した事実をメイ氏が受け入れようとしていないと非難し、首相が議員らの理解を得るのに必要な変更を実現できるどうかを疑問視している。

 EU首脳陣はメイ氏に対し、ほぼ2年を費やして合意に至った離脱協定案について、根本的な修正を期待すべきではないと警告している。(c)AFP/Alice RITCHIE with Dave CLARK in Brussels