シリアのIS残党、トルコの掃討能力に疑問符
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【1月17日 AFP】トルコとの国境に近いシリア北西部マンビジ(Manbij)で米国の要員4人が犠牲になる自爆攻撃があり、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、米軍撤収を表明したシリアでISの残党を一掃する上では、トルコを当てにできるとも述べている。しかし、専門家からはトルコにその能力があるのかどうか、疑問視する見方が出ている。
トルコ政府は米政府に対し、ISとの戦いで、クルド人の民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」に訓練や武器を提供するのをやめるよう繰り返し要求。ISの脅威を取り除く上ではトルコ軍の方が有効だとも主張してきた。トルコ政府はYPGを、トルコの非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」から分派した「テロ組織」と位置づけている。
トランプ氏は先月、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と電話会談した後、ほぼ打倒したとするISについて、「根絶」する上では同氏を頼りにできるとの考えを示した。
新米国安全保障センター(CNAS)の専門家、ニコラス・ヘラス(Nicholas Heras)氏は、エルドアン氏について「トランプ氏にシリアでのIS掃討作戦を無制限に引き受ける用意があると売り込むことに成功したが、その成功の代償を払うことになる」とみる。
ISの最後の拠点はシリアの東部と中部に分布しており、トルコ軍とシリア反体制派が2016年と2018年に共同で軍事作戦を主導し、土地勘のある北部地域からは数百キロの距離がある。
ヘラス氏は「現時点でトルコには、シリア東部を支配下に置くのに十分な規模や経験、正当性のあるシリアの反体制派勢力がいない。こうした勢力を結集するには、米国が支援したとしても何か月もかかるだろう」と指摘する。