【1月16日 AFP】英議会下院で15日、テリーザ・メイ(Theresa May)首相が欧州連合(EU)と合意した英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)協定案が大差で否決された。メイ首相に対しては、野党から内閣不信任案も提出された。今後考えられる3つのシナリオをまとめた。

■採決のやり直し

 英政府とEU首脳部は現在の協定案を受け入れ可能な最善の妥協案だとしている。メイ首相は15日、歴史的な敗北を喫した後も、残された選択肢は同案しかないと改めて訴えた。

 これに対して、メイ首相が属する保守党の議員らは協定案では英国とEUの関係が緊密過ぎると反発。一方、野党側は同案では英国とEUの経済関係を守れないと批判している。

 双方はアイルランドとの国境の開放を維持するいわゆる安全策(バックストップ)についても、EUの貿易ルールに永遠に縛られ続けるとして反対している。

 安全策をめぐってはメイ首相もEU首脳部に譲歩を求めているが、EU側は協定案の修正自体を拒否してきた。

 メイ首相は15日、EUの提案に対する「代替案」はないと警告する一方で、下院議員らとの協議には応じる姿勢を示した。

 ジェフリー・コックス(Geoffrey Cox)法務長官は先に下院議員らに対し、離脱協定案は「ほぼ同じ形式と内容で再提出せざるを得なくなる」との見通しを示している。

 議会が離脱協定案を受け入れるか、あるいはメイ首相を退陣に追い込むまで、政府が同じ協定案を繰り返し議会に提出するのを止める手立てはない。