【1月15日 AFP】外交問題をめぐる中国およびカナダ政府の応酬がますます激しさを増す中、カナダ政府は15日、麻薬密輸罪に問われたカナダ人の被告が中国で死刑を宣告されたことを受けて、中国では「恣意(しい)的な法の執行」のリスクがあるとして渡航者に注意を呼び掛けた。

 中国北東部・大連(Dalian)市の裁判所で死刑を言い渡されたのはロバート・ロイド・シェレンバーグ(Robert Lloyd Schellenberg)被告(36)。同被告は懲役15年の判決を受けていたものの、刑が軽過ぎるとして差し戻し審が行われていた。

 カナダ政府は裁判の数時間後に渡航情報を更新。「中国では恣意的に法が適用されるリスクがあるため、渡航者は高度の警戒態勢を取る」よう呼び掛けている。

 今回の判決は、中国とカナダの外交的対立がエスカレートする最中に言い渡された。

 カナダは先月、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)を対イラン制裁に違反した疑いで、米国の身柄引き渡し要請に基づいて逮捕。

 その一方で中国は、元外交官と実業家のカナダ人2人を国家安全保障に脅威を与えた疑いで拘束。中国側の一連の行動は、カナダ当局が孟容疑者を逮捕したことに対する報復とみられている。(c)AFP/Laurent Thomet and Elizabeth Law