【1月15日 AFP】中国の裁判所は14日、麻薬密輸罪に問われたカナダ人のロバート・ロイド・シェレンバーグ(Robert Lloyd Schellenberg)被告(36)に対し、死刑を言い渡した。被告は当初、懲役15年の判決を受けていたものの、刑が軽過ぎるとして差し戻し審が行われていた。カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は中国が死刑を「恣意(しい)的に」適用したと非難。両国の外交的亀裂がさらに深まっている。

 2014年12月に身柄を拘束されたシェレンバーグ被告は中国北東部・大連(Dalian)市の裁判所で行われた差し戻し審で、「私は麻薬密売人ではない。観光客として中国に来た」として無罪を主張。しかし裁判所は、被告が国際的な麻薬密輸組織の主犯格だったとして、死刑を言い渡した。被告側には上級裁判所への上訴が認められている。

 カナダ当局は先月、米国の要請に基づいて中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)を逮捕し、中国の怒りを買った。中国当局はその後、カナダ人2人を拘束しており、孟CFO逮捕への報復措置とみられている。

 シェレンバーグ被告に対する死刑判決が伝えられると、トルドー首相は中国が「恣意的に」死刑を適用したことは「極めて遺憾」と表明した。

 中国は過去に、薬物関連の罪で有罪となった外国人に対する死刑を執行しており、2014年には日本人、2013年にフィリピン人、2009年に英国人が処刑されている。

 専門家らによると、中国では審理差し戻しの事例は少なく、特に量刑の厳罰化を求めるものはまれだ。人権団体は、同国の裁判所は独立性が保たれておらず、中国共産党の影響を受ける場合があると指摘。一方の中国政府は、本件と孟CFOの逮捕との関連を繰り返し否定している。(c)AFP/Elizabeth LAW