【1月12日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は7日、上位カーストの貧困層にも公務員採用枠や大学入学枠を割り当てるプランを発表した。同首相は、厳しい選挙戦が予想される数か月後の総選挙で再選を目指している。

 インドではすでに、貧困にあえぎ不利な立場に置かれている下位カースト層に、公務員採用と大学入学において一定数の枠が割当てられている。だがこの制度に対しては、不公平であり他のコミュニティーを排除するものとの批判の声も上がっている。

 PTI通信(Press Trust of India)の報道によると、モディ首相のプランの恩恵を受けるのは、年収1万1000ドル(約120万円)を下回る世帯となる見通し。しかし、採用および入学枠の上限は50%と憲法で定められているため、実現には改憲が必要となる。

 このプランは7日、閣議で承認されたが、さらに上下両院でも承認されなければならない。

 特定カーストへの割当て制度は、同国の最貧困層および社会の周縁に追いやられてきた人々に平等な機会を提供することを目的としている。

 だが近年では、失業率の上昇と地方事情の悪化に伴い、極めて人気の高い公務員への採用および大学入学に関する割り当て要求がエスカレート。

 同国西部のグジャラート(Gujarat)州では2016年、比較的裕福な農民や商人を中心とするカースト「パティダール(Patidars)」に属する人々が大規模な街頭デモを行い、同カーストを割り当て対象に含めるよう要求。少なくとも10人が死亡する事態となった。

 上位カースト層による同様の抗議デモは、同国西部のマハラシュトラ(Maharashtra)州や北部のハリヤナ(Haryana)州などでも行われていた。

 2014年に就任したモディ首相率いる右派与党・人民党(BJP)は、昨年後半に複数の重要州で実施された地方選挙において、ラフル・ガンジー(Rahul Gandhi)氏率いる野党・国民会議派(NCP)に手痛い敗北を喫した。

 国民会議派の広報担当者はツイッター(Twitter)に、今回の動き「選挙戦術」であり、モディ首相が選挙で権力を失うことを「恐れて」いる「確固とした証拠」だと投稿している。(c)AFP