【1月8日 AFP】イタリアのマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相は7日、同国サッカー界で最近多発している人種差別や暴力の問題に対抗するためには、スタジアムの閉鎖や試合の延期という従来通りの措置では不十分であるとして、リスクが想定される試合を昼間に実施することなどを呼び掛けた。

 先月末に行われたイタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)対ナポリ(SSC Napoli)戦では、ナポリのカリドゥ・クリバリ(Kalidou Koulibaly)がインテルファンからモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びせられたほか、試合前に起きた暴動で39歳のインテルファンが車にひかれて死亡するという事件が起きた。

 極右政党を率いるサルビーニ内相は、スタジアムの警備強化を目的として開かれたローマでの会合で、「スタジアムの閉鎖、試合の延期、ファンの遠征禁止では、国が降伏したことになる」「問題を起こしたサポーターを拘束し、過ちを犯した人間は誰でも代償を支払うべきであると分からせることを望む」と述べた。

 先月ミラノ(Milan)で起きた暴動を受け、サルビーニ内相は警察をはじめ、各スポーツ連盟、レフェリー、指導者、サポータークラブの代表らを集めてどのような措置が必要であるか話し合いを行った。

 問題の試合では、フランス出身でセネガル代表のクリバリが人種差別の標的にされ、インテルはホームゲーム2試合の無観客試合処分を受けた。スタジアムの外では騒動が勃発し、インテルファン1人が死亡するという深刻な事態に発展したことで、イタリアでは強硬姿勢を求める声が高まっている。

「99.9パーセントが善人であるファンを誤解してはならないが、サッカーファンには悪党がいる」と述べたサルビーニ内相は、「スタジアム内外で非行を撲滅する」意向を示し、スポーツの安全を確保するための「一案」として、「早期判断を実現するため」に新しい法案で古くさい措置のスピードアップと簡略化を図ると発表した。

 内相は「われわれは、サポーターの移動をまとめて行う必要がある。なぜなら、各クラブのファン1000人が100台の車でばらばらに街に入ってくるよりも、一台の専用車両で来る方が統制しやすい」と述べると、緊迫関係にある対戦カードについては、ナイトゲームではなくデーゲームに組み込むことを望むと付け加えた。(c)AFP