【1月7日 AFP】燃料税引き上げへの抗議を発端に8週目に突入した「ジレ・ジョーヌ（黄色いベスト、gilets jaunes）」運動の暴徒化に揺れるフランスで、女性たちが6日、暴力的な活動家から本来の平和なデモを取り戻そうと訴えてパリ市内を行進した。

　パリでは5日、5万人が参加したジレ・ジョーヌのデモで一部が暴徒化し警察と衝突。デモ隊がフォークリフトを使って政府庁舎の扉を突き破り、内部に侵入する騒ぎとなった。

　翌6日、黄色いベストを着用した大勢の女性たちは、市内のオペラ・バスチーユ（Opera Bastille、新オペラ座）の階段に集結。国歌「ラ・マルセイエーズ（La Marseillaise）」を合唱した後、近隣を行進した。黄色い風船を手にした女性や、乳母車を押す人の姿も見られた。

「メディアが報じるのは暴力沙汰ばかり。（緊縮政策への抗議という）本来の問題が見失われつつある」と、南部マルセイユ（Marseille）出身の看護師（42）は話した。同様の女性たちによるデモは、北西部カーン（Caen）や南西部トゥールーズ（Toulouse）など国内各都市でも行われた。

　これに先立ちブリュノ・ルメール（Bruno Le Maire）仏経済・財務相は、ラジオ局ヨーロッパ1（Europe 1）を通じてジレ・ジョーヌの暴動をもう終わりにしようと呼び掛け、「民主主義を信じる人々」なら今こそ「もうたくさんだ」と声を上げるべきだと述べていた。

　ジレ・ジョーヌ運動は当初、燃料税の引き上げへの抗議から始まったが、次第に生活費の高騰や、大企業を優遇し傲慢（ごうまん）と見なされることの多いエマニュエル・マクロン（Emmanuel Macron）仏大統領自身に対する抗議へと変化してきている。(c)AFP