【1月6日 AFP】フランス各地で5日、燃料税引き上げに対する抗議に端を発する「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動のデモが行われた。参加者らは複数の都市で警察と衝突。パリでは、デモ隊がフォークリフトを使い政府庁舎の扉を突き破り内部に侵入する事態も起きた。

 11月中旬から毎週土曜日に行われている同運動のデモでは、前回の12月29日には参加者数が3万2000人と縮小の兆しをみせていたが、内務省によると今回のデモには5万人が参加した。

 パリ中心部の政府庁舎では、黄色いベストを着た少数のデモ隊が大きな木製の扉を突き破り侵入したことを受け、バンジャマン・グリボー(Benjamin Griveaux)政府報道官が避難した。

 グリボー氏がAFPに語ったところによると、デモ隊は近くにあった建設用車両を使って入り口の扉を破り、中庭に短時間侵入して車2台や複数の窓を破壊した上で逃走した。警察が現在、防犯カメラの映像から容疑者の特定を進めているという。

 グリボー氏は侵入行為について「共和国に対する許されざる攻撃だ」と非難。同氏は前日の4日、いまだに抗議活動を続けている人々は「暴動を望み、基本的に政府打倒を目指している扇動者だ」と批判していた。

 警察によると、パリのシャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りにはおよそ3500人のデモ隊が集結した。参加者の一部は川を渡ってサンジェルマン大通り(Boulevard Saint-Germain)周辺の富裕地区に移動し、車1台や複数のバイクに放火。警察はデモ隊を排除するため催涙ガスを使用した。警察によれば35人が逮捕された。

 デモ参加者の中にはパリ中心部にあるAFP本社前に立ち止まり、反メディアの侮蔑的な言葉を浴びせる人もいた。市民の間にはメディアが政府に近すぎるとの見方もあり、「黄色いベスト」デモでは時折市民の怒りがメディアに向けられ、ジャーナリストがデモ参加者に襲撃されたこともあった。

 パリ以外にも、仏各地の都市でデモが行われた。2000人が参加した北部ルーアン(Rouen)では少なくとも2人が逮捕されたほか、デモ隊がバリケードに放火した際に飛んできた物に当たったデモ参加者1人が負傷。南西部ボルドー(Bordeaux)では約4600人が街頭デモに参加し、一部が警察に投石、警察は催涙ガスと放水銃で応戦した。映像はパリ。(c)AFP