【1月4日 AFP】クロアチアの首都ザグレブで3日、アルコールの危険性を伝える公共広告のポスターに記載された、酒を飲みすぎた女性は行きずりの相手と無謀な性行為に及ぶとの文言に対し、「性差別」的表現であるとの批判が噴出した。

　ポスターは市の依頼により制作されたもので、高校生に過剰な飲酒の危険を伝える運動の一環として路面電車などに掲示された。ソーシャルメディア上や女性政治家の間で非難の声が上がっている。

　ポスターには、アルコールが個人の性生活と生殖機能に与える影響の説明があり、「男性では、性欲が増すものの精力と勃起能力が減退し、それが自信喪失につながる」と記載されている。一方、女性については、過剰な飲酒は「見知らぬ相手との無謀な性交、月経不順や妊娠中の異常につながる」と書かれている。

　ツイッター（Twitter）上では、女性の飲酒が無謀な性行為を招くという記述について、「男性には当てはまらないというのか？」といった批判の声が上がった。

　女性政治家の間からもポスターへの非難が出ている。野党・社会民主党（SDP）の女性らは、運動の目的は尊いものだが、ポスターの文言は女性の尊厳を傷つけていると指摘。「性差別の表れであると同時に、性差への固定観念を助長する表現の典型例」だとした。また連立与党・人民党（HNS）の女性らも、ザグレブ市長にポスターの撤去と謝罪を求めた。

　しかし、ザグレブ市は、ポスターに論争を呼ぶような点はないとの立場を示している。ポスターは市内の高校生が制作した。(c)AFP