【1月4日 AFP】世界経済フォーラム(WEF)は3日、牛肉から代替タンパク質に切り替えることで、数百万人もの命が救われ、温室効果ガスの排出が劇的に削減されることが考えられると発表した。

 英オックスフォード大学マーティンスクール(Oxford Martin School)がWEFのために実施した今回の最新研究では、食用肉、特に牛肉を別のものに置き換える取り組みによって、人の健康と自然環境に大きな恩恵がもたらされる可能性について指摘された。

 WEFによると、食事に関連する世界の死亡事象の約2.4%は、牛肉から離れることで回避可能になると考えられるという。WEFは毎年1月、スイスの高級スキーリゾート地ダボス(Davos)で、世界の資産家、著名人、有力者などが集う豪華な年次総会(ダボス会議)を主催している。

 オックスフォード大マーティンスクールが発表した報告書「代替タンパク質(Alternative proteins)」は、富裕国でこの傾向が特に顕著で、死を回避できる可能性は最大5%に上るとしている。「最大のプラス効果が得られるのは牛肉の消費量が多い富裕国であり、食物繊維の摂取量を増やすことの恩恵が特に大きい」と記された。

 今回の報告書では、食事関連要因の年間死亡者数の予想値や、対象となる病気や症状についての情報は提供されなかったが、WEFは、食用肉からの切り替えで「年間数百万人に及ぶ不必要な死を回避できる可能性がある」と主張している。

 WEFはまた、世界人口が今世紀半ば頃には100億人にまで膨らむと予測されるのに伴い、食用肉の需要が増加し続けることも予測されるとしている。

 これについて、WEFのドミニク・ウォーレイ(Dominic Waughray)専務理事は、発表した声明の中で「食用肉に対する将来の世界需要を持続的に満たすことは不可能になるに違いない」と指摘している。