【12月31日 AFP】厳格な検閲が実施されるイランで、国営イラン放送(IRIB)の地方局が、アクション映画俳優ジャッキー・チェン(Jackie Chan)さんが出演する映画のセックスシーンを誤って放映し、局長が解雇された。地元メディアが31日、報じた。

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 問題となったのは、キシュ島(Kish Island)を放送エリアとするIRIBの地方局が放映した映画での、ジャッキーさんと売春婦のセックスシーン。

 男女の握手の場面さえ放映が認められていない同国では、通常の規定の大幅な逸脱に相当する。視聴者がそのシーンをインターネット上に投稿すると、当局は即座に反応した。

 半国営イラン学生通信(ISNA)は、「キシュIRIBで放送されたとみられる、ジャッキー・チェン出演映画のわいせつシーンの一部がソーシャルメディア上で拡散している」と伝えた。

 さらに、「これらのシーンはIRIBの方針から完全に逸脱しており、キシュIRIBの一部職員が解雇や懲戒処分を受けた」とし、これには同局局長も含まれると明らかにした。

 これを受けて、市民からは怒りの声も上がっている。あるツイッター(Twitter)ユーザーは、先週首都テヘランの大学で発生し学生10人が犠牲になったバス事故では一人の解雇者も出なかったことに触れ、「バスが横転しようが飛行機が墜落しようが船が沈没しようが、誰も解雇されない…だがIRIBでジャッキー・チェンのセックスシーンが数秒流れただけで当該部局の全員が即座に首になる」と指摘した。(c)AFP