英政府、150億円投じてフェリー用船契約「合意なきEU離脱」に備え
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【12月30日 AFP】英政府は、来年3月29日に予定されている欧州連合(EU)離脱が「合意なき離脱」となった場合にドーバー(Dover)港が「深刻な渋滞」に直面するリスクを抑制するため、フェリー(連絡船)の用船契約に総額1億ポンド(約140億円)超を投じた。
政府文書によると、契約先のフェリー会社は、フランスのブリタニーフェリー(Brittany Ferries)とデンマークのDFDS、英国のシーボーン(Seaborne)の3社で、契約の総額は1億700万ポンド(約150億円)。1週間当たりの輸送力を大型トラックで約4000台分引き上げ、ドーバー港の混雑回避策として英イングランド(England)地方南部沿岸の他の港を活用できる体制を整える。
英運輸省の報道官は「輸送力の大幅増強は、合意なき離脱に備える同省の計画にとって、小さいながらも重要な要素だ」と述べ、「(EU離脱の)さまざまなシナリオに他の政府機関が完全に備えられるよう協力している。合意なき離脱の可能性を特に重視し、ブレグジットがあらゆる輸送方法に及ぼす影響を抑制する」と説明した。
同省はまた、国境の通関増加が原因で「必要物資の配送が遅れ」、「英経済に著しい混乱が広がる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
ただ、こうした動きについて野党・自由民主党(Liberal Democrats)のビンス・ケーブル(Vince Cable)党首は「完全に常軌を逸している」と発言。「政府にはいかなる時にも『合意なき離脱』を阻止する権限があるものの、代わりに「土壇場の(用船)契約に何百万ポンドも支出している」と批判した。(c)AFP